IPアドレスFAXというのは、イントラネット環境に接続されている、(原則といて)同じメーカー間のFAX端末(複合機)であれば、FAX番号の代わりに相手のFAX端末のIPアドレスを指定することで、通常FAXのような通信費をかけずにFAXを利用できるものを言います。
イントラネットというのは、社内などの限定された範囲内でのコンピュータネットワークを構築する際に、標準的なインターネット技術を利用することにより、低コスト化することができ、そしてベンダー独立性を高めようとする取り組みのこと、もしくは、そのように構築されたネットワークのことを言います。例えば、インターネットで普及している通信プロトコルを使用して、社内の情報共有システムを構築することによって、現在、幅広く普及しているインターネット用のソフトウェア・ハードウェアをそのまま利用することができる他、標準化されている技術を用いるため、他社と協力しながらエクストラネット(複数のイントラネットを相互接続したネットワークシステムのこと)へ拡張させることも簡単にできる・・・といったことが挙げられます。
このIPアドレスFAXでは、離れた場所への通信も、VPN(公衆回線を、専用回線のように利用することができるサービスのこと。外出先からインターネットを通じて安全に社内へアクセスしたり、特定の相手と安全に情報交換することが可能)を利用することで通信費をかけずにFAXすることが可能となります。この場合、固定IPアドレスを利用する必要があり、アクセスするプロバイダによって利用料金は異なってきます。このIPアドレスのメリットとしては、通信速度が送受信を同時にできるほどの速いという点。そして、画質も非常に良く、600dpiほどでプリンターと同様の画質を期待することができます(ただし、カラー通信は不可能)FAXを利用する場合は、ワンタッチボタンにアドレスを設定しておけば、通常のFAXの操作で簡単にIPアドレスFAXを利用することができます。更に、相手先が所有するIPアドレス対応のFAX端末に、一般的なFAX番号を設定することもでき、それによって、その先のG3FAXへ送信することも可能となっています。G3FAXというのは、ITU-TS(国際電気通信連合・電気通信標準化セクタ)が標準化したFAX国際企画の1つであり、アナログ電話回線用のFAXになります。現在多く利用されている通常のFAXのほとんどが、このG3FAXに対応しています。
一方のインターネットFAXは、先ほどから触れているように、インターネット回線を利用するメールの送受信の仕組みを用いて、FAX通信を行います。そのため、通信費はかかりません。ペーパーレスでFAXの送受信を行うことができるのが大きな魅力であり、インターネット環境さえ整っていれば、パソコン・携帯電話・スマートフォンを使って、WEB上でFAXの内容を閲覧・確認することができます。ただ、最初にも少し触れましたが、このインターネットFAXの利用方法は2種類あり、もう1種類の方法として、FAX端末を用いた方法があります。この場合、FAX端末専用のメールアドレスを用意しなければならない場合があるのですが、このインターネットFAでXは、相手先のメールアドレスを選択することによって、相手先が所有している端末機に添付書類として送信することが可能となっています。
そして、IPアドレスFAXとインターネットFAXの違いですが、IPアドレスは原則的に同じメーカーのFAX端末を使用しなければなりませんが、インターネットFAXの場合は、同じメーカーの端末で揃える必要がなく、他メーカー同士のFAX端末であっても、FAX通信を行うことができる点です。また、パソコン・携帯電話・スマートフォンを使ってWEB上でFAX内容を確認する方法はインターネットFAXでしかできない・・・というのも、IPアドレスFAXとの大きな違いであるとも言えます。また、IPアドレスFAXの場合、初期費用は毎月の利用料(月額料)が高めであることが多いのですが、インターネットFAXの場合、(利用するインターネットFAXサービス会社によっても差はあるものの)比較的、初期費用・利用料共に安めのところが多いようです。